人との触れあいが少なくなってくると
どのようになるのでしょうか?
|ストレスフルな社会。変化の大きな時代を生きるわたしたち。
わたしたちは、大昔より人との触れあい、支え合いの中で生活をしてきています。
文明の発展とともに、生活は便利になり物質的な豊かさを手に入れてきましたが、日本の現代社会は、ストレス社会といわれるようになりました。
さらには、世の中の変化がどんどん速くなり、より人々のこころを悩ませています。
社会の変化とともに、今は家族や社会が多様化し、機械化が進み、物理的な距離を超えて人と会うことができるようになった一方で、人との関わりが希薄になってコミュニケーションの形も変わってきています。
物心ついた頃からデジタル機器に触れることが当たり前になり、機器を介して人とコミュニケーションを行うことも増えてきました。
人との触れあいが少なくなってきている今、子どもたちのこころは育まれているでしょうか?
わたしたち大人は、こころ豊かに暮らせているでしょうか?
現代のストレス社会で、うつ病が大きな社会問題となっていることから、わたしたちは一緒に考えていく必要がありそうです。
|皮膚と脳の関係
皮膚と脳は、深い関係があることが分かっています。
例えば
痛い時にやさしく擦ると痛みが和らいだり…
精神的なストレスで肌荒れが悪化したり…
ニキビなど肌トラブルが抑うつ状態を引き起こしたり…
皮膚は身体を包む大きな臓器であるとともにさまざまな機能を持っています。
何よりも
人間の脳と皮膚は同じ杯(外肺葉)から派生していることから、とても深い関係にあり、それを裏付けるような数多くの研究がされ、実証されています。
|触れあう大切さ
直接肌に触れることで言葉では伝えられないことを伝えられることがあります。
もちろん、言葉でしか伝えられないこともあります。
触れあう機会の多い人の方がストレスが少ないことが分かっており、肌と肌を触れあわせることで幸せホルモン「オキシトシン」の分泌が促され、ストレスを減少させることや精神的な健康状態を改善する効果が認められています。
肌に直接触れることの研究では、1978年南米コロンビアのボゴタにある母子医療センターで行われた乳幼児へ直接肌に触れるように母親の胸に抱かせ、温めるとともに、母乳養育を推奨したことで、死亡率は10パーセントに急低下したことなど、触れあいに特別な力があることを裏付けられています。
新型コロナウィルス感染症の影響が長引き、ふとしたときに何か物足りなさを感じていたり、空虚な気持ちになることはありませんか?
人と触れあうことが少なくなってきている時代だからこそ、今一度、人との触れあいを意識し、わたしたち一人ひとりがこころとからだのバランスを整え、支え合っていくことが大切になっているのかもしれません。
|子どもにとっての触れられること
人との触れあいは、こころと身体を育むといわれています。
赤ちゃんへ直接肌に触れることは、心拍や呼吸などを安定させ、睡眠を改善し、免疫にもかかわっていることが分かっています。
触れあいが不足すると、発育不足、免疫機能の不全、認知や運動の発達遅滞、愛着障害などがみられるともいわれているのです。
|大人にとっての触れられること
触れられることの癒しは、何も子どもに限ったことではありません。
高齢になるにしたがって、触れられる欲求は高くなるともいわれています。
誰もが人に触れられることによって、愛されることを感じ、癒され、触れられることでストレスの軽減につながります。
触れあいが不足すると、こころへの影響ばかりでなく、生活習慣病などに深い関係があることも分かっているのです。
手に触れられることによる癒しのチカラは、わたしたちの精神とこころに大きな影響を及ぼすことが分かっています。
まだまだ解明がされていないことの多い人の触れるチカラですが、わたしたち人にとって、なくてはならない大切な行為であることがわかります。
|人との関わりの中で傷つきもするが、人は人によって癒される。
人との触れあいが少なくなっている今こそ、人と触れあうことを大切にし、意識していきたいものです。
人との触れあい
それは
生きるエネルギーとなり
生き方を変えるから。
参考図書
「皮膚、人間のすべてを語る」モンティ・ライマン著 塩崎香織